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目次 (23)
先に答えを言うと、口紅、リキッドルージュ(中国語の唇釉)、リップグロス(唇蜜)、リップメイク全般を指す呼び名(唇彩)、リップクリーム(中国語では護唇膏と潤唇膏の2通り)という、よく比べられる6つの呼び名のうち、本当に違いがあるのは2組だけです。残りの混乱は訳語と宣伝用の言葉から来ています。ティント、リップオイル、唇露、唇泥は後の節で別に説明します。
まず質感と効果です。
| 名前 | 質感 | 発色 | 保湿 |
|---|---|---|---|
| 口紅 | 固形、ワックス多め | 高 | 中 |
| リキッドルージュ | 液状〜とろみ | 中〜高 | 中 |
| リップグロス | 薄く透明〜淡色 | 低 | 中 |
| リップクリーム | 固形、油とワックス | なし〜ごく低 | 高 |
次に持ちと使い方です。
| 名前 | 持ち | 落とす | 用途 |
|---|---|---|---|
| 口紅 | 高 | 必要 | 色づけ |
| リキッドルージュ | 中 | 必要 | 色+ツヤ |
| リップグロス | 低 | 推奨 | 口紅に重ねる |
| リップクリーム | 低 | 不要 | 毎日の保湿 |
残りの2つの呼び名は行を分ける必要がありません。中国語の潤唇膏と護唇膏は同じもので、数値はすべてリップクリームと同じです。唇彩はリップメイク全体の総称で、1つの品目ではありません。中国語の唇釉は、ブランドの英語表記ではlip glazeやlip lacquerと書かれることが多く、日本の売り場ではリキッドルージュに分類されます。リップグロスは英語でlip gloss、リップクリームはlip balmです。
つまり本当に説明が必要な違いは、口紅とリキッドルージュ、リキッドルージュとリップグロスの2組だけで、しかもその境目も思ったよりあいまいです。
呼び名がこれほど混乱する2つの理由
一、日本語の「リップ」は、色ものとケアの両方を指す
英語は区別がはっきりしています。lipstickはメイク、lip balmはケアで、2つの言葉は重なりません。日本語でも「口紅」と「リップクリーム」は別の言葉ですが、ふだん一番よく使う「リップ」はどちらも指します。「このリップ、色がかわいい」ならメイク、「乾燥するからリップ塗って」ならケアです。ドラッグストアの売り場でも、リップ(保湿)とリップ(カラー)のように同じ「リップ」の中で分けていることがあり、色つきのリップクリームはカラーリップケアとしてその間に置かれます。
ちなみに中国語でも事情は似ていて、「唇膏」という1つの言葉が口紅とリップクリームの両方を指します。
日本の売り場の分類と、中国語の呼び名を並べるとこうなります。
| 売り場 | 中国語 | 役割 |
|---|---|---|
| 口紅・ルージュ | 口紅 | 色づけ |
| リキッドルージュ | 唇釉 | 色+ツヤ |
| リップグロス | 唇蜜 | ツヤ足し |
| リップクリーム | 護唇膏・潤唇膏 | 保湿 |
| リップティント | 唇染 | 唇を染める |
| 分類なし | 唇泥・唇露 | 宣伝用の名前 |
Lip balmは日本語でいうリップクリームで、主に油脂、ワックス、ワセリンで唇の表面に保護膜をつくります。いちばん簡単な分け方は、リップクリーム(lip balm)がケア、口紅(lipstick)が色、リップグロス(lip gloss)がツヤを担当する、というものです。中国語の唇泥と唇露には日本の売り場に対応する分類がなく、近いものを探すならそれぞれマットなリキッドルージュとティントになります。
1つの言葉が2つの意味を背負うと、混乱はそこから始まります。「リップとリップクリームは何が違うの?」という問いは、同じ言葉の2つのバージョンを比べているように見えて、実際にはメイク用品とスキンケア用品の違いを聞いているのです。
二、唇釉・唇泥・唇露は品目ではなく、宣伝用の造語
本記事の執筆地である台湾の化粧品法規は、2024年7月より前は、一般の化粧品と、査験登記(事前審査を受けて許可を得る手続き)が必要な特定用途化粧品の2種類に分けていました。その後は分類がなくなり、すべて製品登録になっています。化粧品衛生安全管理法第3条の定義は「人体の外部、歯または口腔粘膜に用い、毛髪や皮膚をうるおし、嗅覚を刺激し、体臭を改善し、容貌を整え、または身体を清潔にするための製剤」で、どこにも唇釉、唇蜜、唇泥の居場所はありません。
業界の側にも基準はありません。これらの名前はブランドが質感や差別化を表すために使う言葉で、各社の定義は一致しません。A社の唇釉がB社の唇蜜よりさらさらしていることもあれば、C社の唇泥とD社のマットな唇釉が同じようなものだということもあります。
ですから「唇釉と唇蜜は何が違う?」という問いへの正しい答えの第一声は、「どのブランドのものか次第」です。
質感の裏にある変数は3つだけ
名前はたくさんありますが、処方の考え方は単純です。リップ製品の質感は、ワックス、オイル、ジェルの3つの割合でほぼ決まります。
- ワックス(ミツロウ、キャンデリラワックス、カルナウバワックスなど)は形を支えます。ワックスが多いほど硬くなり、スティック状に立ちやすく、発色と持ちもよくなりますが、そのぶん感触は乾きやすく、伸びは悪くなります。
- オイルと油脂(ヒマシ油、ホホバオイル、シアバター、ミネラルオイル、ワセリン)はうるおいと伸びを担当します。オイルが多いほど心地よく保湿されますが、食事や摩擦で落ちやすくもなります。
- ジェルと樹脂(各種ポリマー)はツヤと密着を担当します。多いほどツヤが出てべたつき、リップグロス特有のべたつきはここから来ています。
この3つの変数を動かせば、6つの呼び名はすべて説明できます。口紅はワックス多め、リップクリームはオイル多め、リップグロスはジェル多めで、リキッドルージュは3つの割合が中間にある液状版です。
1組ずつ違いを見る
リキッドルージュと口紅は何が違う?
違うのは基材で、品目ではありません。口紅はワックスで支えられた固形で、スティック状に立ち、発色と持ちが高めです。リキッドルージュは液状またはとろみのあるペースト状で、オイルとジェルの割合が高く、多くはチップつきで、発色は透け感寄り、ツヤが強く、落ちやすくなります。
実際の選び方としては、しっかりした色を一日もたせたいなら口紅、みずみずしさと手軽さがほしいならリキッドルージュです。落とすことについては、どちらもクレンジングをおすすめします。とくに発色の強い製品は色材が多く、唇の縦じわに残ると唇の色がくすんで見えます。
リップグロスとリキッドルージュは何が違う?
この問いの答えは、境目はブランドが自分で決めていて、客観的な基準はない、です。
おおまかな傾向として、リップグロスは透明かほんのり色づく程度で、質感はさらっとしていて、ツヤを足すのが主な役割なので、口紅の上に重ねてよく使われます。リキッドルージュは発色が高めで、質感にとろみがあり、単独で使えます。ただしこれは傾向であって、ルールではありません。買う前は名前より成分表と試し塗りを見るほうが確実です。
中国語の潤唇膏と護唇膏は何が違う?
違いはなく、同じものの2通りの訳し方です。英語ではどちらもlip balm、日本語ではどちらもリップクリームで、台湾では護唇膏、中国本土と香港では潤唇膏ということが多いだけです。
2つを並べて違いの表をつくっている記事があれば、それはたいてい記事の中身を埋めるためにひねり出した分け方です。この問いはそもそも成り立ちません。
ワセリンとワセリンのリップは何が違う?
ベースは同じです。容器入りのワセリンも、スティック型のリップクリーム(たとえばヴァセリンのリップ)も、主成分はpetrolatum、つまりワセリンそのものです。スティック型にはシアバターやビタミンEのような添加成分と香料が加わり、そのまま塗りやすい形になっています。なお、日本ではブランド名をヴァセリン、成分名をワセリン(白色ワセリンなど)と書き分けます。
知っておく価値のある数字が1つあります。petrolatumは現在知られている中で最も閉塞効果の高い成分で、経皮水分蒸散を98%以上減らせます。皮膚に吸収されるのではなく、表面を覆って水分の蒸発を防ぐのです。ですから、唇を覆って保湿するだけが目的なら、容器入りの純粋なワセリンも成分の面では劣りません。違うのは持ち運びと塗りやすさです。
表にない4つの名前:ティント、リップオイル、唇露、唇泥
売り場にはほかにもよく見かける名前が4つあります。上の表に入れていない理由はそれぞれ違います。
- ティント(lip tint)は、顔料を表面にのせるのではなく、染料で唇そのものの色を変えます。質感は水っぽいものやジェル状が多く、発色は透け感があり、ツヤは控えめで、表面を拭き取ってもしばらく色が残ります。韓国のコスメ売り場では独立した大分類で、英語には意味の近いlip stainもあります。日本の売り場にもリップティントの分類があります。
- リップオイル(lip oil)は、オイルの多い液状の製品で、リップグロスのツヤとリップクリームのうるおいを併せ持ちます。イギリスのドラッグストアBootsは、グロスとリップバームを合わせたようなものと説明しています。前の3つの変数に戻すと、「オイル」の角の液状版です。
- 唇露は中国語の宣伝用の名前で、多くは水っぽいティントを指しますが、使い方はブランドごとにばらばらです。
- 唇泥も宣伝用の名前で、たいていはマットでムースのような液状リップを指し、マットなリキッドルージュに近いものです。日本を含む海外の売り場にこの分類はありません。
この4つのうち、処方の考え方が本当に違うのはティントだけです。ほかの製品の質感はワックス、オイル、ジェルの割合で説明できますが、ティントは染料で色をつけます。残りの3つは三角形の中に戻すことができ、違うのは名前だけです。
法規上はどう分類されているか(台湾の場合)
多くの比較記事が書かない部分ですが、目にする宣伝文に実際に影響しているのがここです。以下は本記事の執筆地である台湾の規定です。
リップクリームは治療をうたえません。化粧品衛生安全管理法第10条第2項は、化粧品について医療効能の表示、宣伝、広告をしてはならないと定めています。そのため合法なリップクリームの宣伝文は、うるおす、保湿する、整えるといった表現に限られ、治療、消炎、効能を語ることはできません。口唇炎を治せるとうたうリップクリームがあれば、その宣伝自体がすでに違法です。これはブランドを信頼できるかどうかを判断する簡単な目安にもなります。
SPFを表示する製品は、2024年7月より前は別の扱いでした。特定用途化粧品にあたり、発売前に衛生福利部食品薬物管理署で査験登記をして許可証を取る必要がありました。食品薬物管理署の2024年6月26日のプレスリリースによると、2024年7月から化粧品の分類はなくなり、「特定用途化粧品」という言葉も使われなくなって、すべての化粧品が製品登録と製品情報ファイルの整備に切り替わりました。SPF表示のあるリップクリームは、いまでは普通のリップクリームと同じ発売前の手続きを通り、違いは表示のルールに残っています。SPFの表示値は実測値を超えてはならず、上限はSPF 50+です。各国の日焼け止め表示の読み方は日焼け止めのSPF・PA表示の各国比較にまとめています。
法規の原文:化粧品衛生安全管理法
結局どう選べばいいか
ブランドはすすめず、対応関係だけを示します。
- 唇が乾くだけで、毎日のケアがしたい → リップクリーム。成分表に唇を覆う成分が入っているかを見ます。
- 色がほしい、長くもたせたい、写真でしっかり発色させたい → 口紅。
- みずみずしさがほしい、手早く塗りたい、輪郭を描きたくない → リキッドルージュ。
- 口紅を塗ったうえで、もう少しツヤを足したい → リップグロスを重ねる。
- 長時間屋外にいる → SPF表示のある製品を選ぶ。
唇がなぜ特に乾きやすいのか、塗るとかえって乾くことがあるのはなぜかは、唇の皮膚の構造と保湿成分の働きにかかわる別のテーマなので、別の記事で扱います。リップメイクの色材の原料と成分をめぐる議論は天然の赤色色素の原料:コチニールカイガラムシ(中国語原文)を、成分に含まれる動物由来原料とヴィーガン認証については動物実験なし、クルエルティフリー、ヴィーガンは何が違う?(中国語原文)をご覧ください。
よくある質問
Lip balmとは?日本語では何と呼びますか?
Lip balmは日本の売り場でいうリップクリーム(リップケア)です。主に油脂とワックスで唇の表面に保護膜をつくり、水分が逃げるのを防ぎます。保湿ケアが中心で、色はないか、ごく淡い色がつく程度です。
中国語の「唇釉」とは何ですか?
唇釉は液状のリップメイクで、日本の売り場でいえばリキッドルージュにあたります。質感は口紅とリップグロスの中間で、グロスより濃く、口紅よりみずみずしく、多くは斜めカットや平たいチップがついています。ただし唇釉は定義のある品目ではありません。台湾の法規にも業界にも「唇釉」という分類はなく、ブランドが質感を表すためにつくった宣伝用の言葉です。そのため、A社の唇釉がB社の唇蜜(リップグロス)よりとろみがある、ということも起こります。
リキッドルージュと口紅は何が違いますか?
違うのは基材と質感で、品目ではありません。口紅は固形で、ワックスが形を支え、発色と持ちが高めです。リキッドルージュは液状またはペースト状で、オイルとジェルの割合が高く、発色は透け感寄り、ツヤが強く、落ちやすくなります。法規上はどちらも同じ種類のものです。
リップティントとリキッドルージュは何が違いますか?
色のつけ方が違います。リキッドルージュは口紅と同じく、顔料を含む固形や液状の中身で唇の表面を覆います。ティントは染料で唇そのものの色を変えるもので、質感は水っぽいものやジェル状が多く、発色は透け感があり、ツヤは控えめで、表面を拭き取ってもしばらく色が残ります。韓国のコスメ売り場ではティントが独立した大分類になっていて、中国語圏でもそのままtintと書くことがよくあります。
リップオイルはリップクリームですか、リップグロスですか?
その中間です。リップオイルはオイルの多い液状の製品で、グロスのツヤとリップクリームのうるおいの両方があります。イギリスのドラッグストアBootsも、グロスとリップバームを合わせたようなものと説明しています。無色か淡い色のものが多く、持ちはグロスと同じく短めです。
中国語の「唇泥」「唇露」とは何ですか?
どちらもブランドがつくった名前で、定義のある品目ではありません。唇泥はたいていマットでムースのような液状リップを指し、マットなリキッドルージュに近いものです。唇露は多くの場合、水っぽいティントを指します。使い方はブランドごとにばらばらで、日本を含む海外の売り場にも対応する分類はありません。買う前は名前より質感の説明と試し塗りを見るほうが確実です。
中国語の「潤唇膏」と「護唇膏」は別のものですか?
いいえ、同じ製品の訳し分けです。英語ではどちらもlip balm、日本語ではどちらもリップクリームです。台湾では護唇膏、中国本土と香港では潤唇膏ということが多いだけです。2つを並べて違いを比べている記事は、たいてい宣伝文の都合による分け方で、実質的な違いではありません。
ワセリンと、ヴァセリンのスティック型リップは何が違いますか?
ベースは同じものです。どちらも主成分はpetrolatum(ワセリン)で、スティック型のリップにはシアバター、ビタミンEなどの添加成分や香料が加わり、そのまま塗りやすい形になっています。唇を覆って保湿するだけが目的なら、容器入りの純粋なワセリンも成分の面では劣りません。
リップクリームで唇の荒れを「治す」と宣伝してよいのですか?
台湾(本記事の執筆地)ではできません。化粧品衛生安全管理法第10条第2項は、化粧品について医療効能の表示、宣伝、広告をしてはならないと定めています。そのため合法なリップクリームの宣伝文は、うるおす、保湿する、整えるといった表現に限られ、治療や効能をうたうことはできません。口唇炎を治せるとうたうリップクリームがあれば、その宣伝自体が違法です。
SPF表示のあるリップクリームは、普通のリップクリームと管理のしかたが違いますか?
台湾(本記事の執筆地)では、2024年7月から発売前の手続きは同じになりました。以前はSPFを表示する製品は特定用途化粧品にあたり、衛生福利部食品薬物管理署で査験登記(事前審査)をして許可証を取る必要がありました。化粧品衛生安全管理法の移行期間が2024年6月末に終わったあとは化粧品の分類がなくなり、すべての化粧品が製品登録と製品情報ファイルの整備に切り替わりました。違いが残るのは表示で、SPFの表示値は実測値を超えてはならず、上限はSPF 50+です。
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出典: 中国語版の初公開日は2026-08-28、更新日は2026-10-27です。台湾の法規は2026年10月に確認した内容に基づいています。
この日本語版は、繁体字中国語の原作記事をもとにしています。 joelin.cc. 海外の読者にもわかりやすいよう、表現や説明を調整しています。内容の基準となるのは繁体字中国語の原文です。完全な内容は 中国語の原文をご覧ください。
