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結論から言うと、日焼け止めのSPFは肌が赤くなる日焼け(主にUVB)を防ぐ力の数字で、PAは肌が黒くなる日焼けにかかわるUVAを防ぐ力の等級です。SPFの測り方は世界でほぼ同じなので、どの国のSPF50もだいたい同じ意味です。違うのはUVAの書き方で、同じテストを受けても国ごとに成績表の形が違う、というイメージです。
日本のパッケージで見る「SPF50+」「PA++++」「UV耐水性★★」は、どれも国の法律ではなく、化粧品メーカーの業界団体が決めた自主基準による表示です。下の図で、日本と海外5地域のSPFの上限、UVAの表示、耐水性の書き方を並べました。
この図のポイントは一つです。SPFに上限がないのは米国だけで、ほかの地域は50+が最高です。UVAは日本・韓国・台湾がPAの「+」の数、EUが丸いマーク、米国とオーストラリアが「Broad Spectrum」の文字で表します。この記事は各地の表示ルールをまとめたもので、製品の比較や、肌・医療についてのアドバイスではありません。
日本のルール:SPF・PA・UV耐水性は業界の自主基準
日本の日焼け止めの表示を決めているのは、化粧品メーカーの業界団体である日本化粧品工業連合会(粧工連)です。同会は2023年4月に改組し、いまは日本化粧品工業会という名前です(国立国会図書館の典拠情報)。日本化粧品技術者会誌の解説論文(2013年)は、SPFやPAは「国の定めた基準ではなく」、粧工連の自主基準で測った結果だと説明しています。
| 項目 | パッケージの表示 | ルールの中身 |
|---|---|---|
| SPF | 整数、最高は「SPF50+」 | ISO 24444で測定。50以上で95%信頼限界の下限値が51.0以上ならSPF50+ |
| PA | PA+~PA++++ | ISO 24442で測るUVA防止効果の指数(UVAPF)を4段階に分類 |
| 耐水性 | UV耐水性★/★★ | ISO 18861で水浴40分なら★、80分なら★★(2022年12月から) |
日本の表示は、三つとも国際規格(ISO)で測った結果を、日本独自の書き方に置き換えたものです。SPFが高くても50より大きい数字は書かず「50+」にそろえ、UVAは「+」の数、耐水性は星の数で表します。
SPF:最高は「50+」
粧工連の2012年11月14日のニュースリリースに載っている「SPF測定法基準<2011年改定版>」では、SPFはISO 24444で測り、平均値の小数点以下を切り捨てた整数で書きます。そのうえで、SPFが50以上で、95%信頼限界の下限値が51.0以上ならSPF50+、51.0に届かなければSPF50とします。測定法は2020年2月の通知でISO 24444の2019年版に切り替わっています(粧工連の通知)。
EUとオーストラリアは「50+」の条件を測定値60以上としているので、同じ「50+」でも線の引き方は日本と違います。
PA:「+」が多いほどUVAに強い
同じリリースの「UVA防止効果測定法基準<2012年改定版>」で、UVAの指数(UVAPF)をこう分けています。
- PA+:UVAPFが2以上4未満。
- PA++:UVAPFが4以上8未満。
- PA+++:UVAPFが8以上16未満。
- PA++++:UVAPFが16以上。
それまでの最高はPA+++で、PA++++は2013年1月1日から表示できるようになりました。基準には、UVAだけを防いでも日焼け止めにはならないので、PAを書くときはSPFも一緒に書くこと、とも定められています。測定法は2022年9月の通知でISO 24442の2022年版に更新されました(粧工連の通知)。
UV耐水性:★は40分、★★は80分
耐水性の表示は、長いあいだ各社がそれぞれの基準で書いていました。粧工連は国際規格ISO 18861をもとに「紫外線防止効果に対する耐水性測定法基準<2021年版>」を2021年10月15日に出し、2022年12月1日から新しい表示が始まりました(2022年11月7日のニュースリリース)。
- UV耐水性★:水浴時間40分(20分×2回)の試験で耐水性が認められたもの。
- UV耐水性★★:水浴時間80分(20分×4回)の試験で耐水性が認められたもの。
- 星は塗りつぶし(★)でも白抜き(☆)でもよいが、星だけ色を変えるのは不可。
- 耐水性を書くときは、水浴前のSPFも一緒に書く。
耐水性ありとする目安は、水浴後もSPFが50%以上残っていることです(会員向けQ&A、2022年7月15日)。同じQ&Aでは、この試験の結果を根拠に「汗に強い」と書かないこと、「ウォータープルーフ」などで耐水性をうたうなら「UV耐水性★」か「★★」を必ず併記すること、としています。
経過措置は2022年12月1日から2年間で、各社基準の旧表記の商品は2024年12月以降は出荷できません。粧工連は、2027年11月末にはすべての旧表記商品の販売が終わると見込んでいます。
「化粧品」と「医薬部外品」の日焼け止め
日本の行政資料では、「化粧品」の効能の範囲と、「医薬部外品」の「日やけ止め剤」の効能の範囲が別々に示されていて、書ける効能が違います。
- 化粧品:厚生労働省の通知で決められた56項目の中に「日やけを防ぐ」「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」があります(大阪府の掲載ページ)。
- 医薬部外品:「日やけ止め剤」の効能の範囲として「日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ」「日やけ・雪やけを防ぐ」「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」「皮膚を保護する」が示されています(枚方市の掲載資料)。
どちらの区分でも、SPF・PA・UV耐水性の書き方は上の自主基準に沿います。なお、日本化粧品工業会の公式サイトは2026年10月27日の確認時にメンテナンス中だったため、この節の粧工連の文書はInternet Archiveに保存された原本PDFで確認しました。
そもそもSPFとUVAの表示とは
SPF(Sun Protection Factor)は、こうやって測ります。被験者の背中に日焼け止めを塗った部分と塗らない部分を作り、紫外線を少しずつ強くして当て、翌日どの量で肌が赤くなったかを見ます。塗った部分が何倍の紫外線で赤くなったか、その倍率がSPFです。方法は国際規格ISO 24444:2019で、オーストラリア医薬品行政局(TGA)の2026年3月の規制見直しの意見募集資料に詳しい整理があります。
「赤くなるかどうか」を見るので、SPFが主に表すのはUVBへの効果です。この方法には、同じ製品でも試験機関によって数字がぶれ、SPFが高いほどぶれが大きいという弱点があります。そこでISOは2024年12月に、人を使わないISO 23675と、人と機器を組み合わせるISO 23698を新たに出しました。各国がいつ切り替えるかは、まだ決まっていません。
UVAにも国際的な測り方が2種類あります。ISO 24442:2022は人の肌が黒くなる反応で測り、ISO 24443:2021は機器でどこまで広い波長を防げるか(臨界波長)を測ります。各国の違いは、どちらを使い、合格ラインをどこに引くかです。
各地のUVA表示の比較
| 地域 | 表示 | 決めているところ |
|---|---|---|
| 日本 | PA+~PA++++ | 日本化粧品工業連合会(業界の自主基準) |
| 韓国 | PA+~PA++++ | 食品医薬品安全処 |
| EU | 「UVA」と書かれた丸いマーク | EU委員会勧告2006/647/EC |
| 米国 | Broad Spectrum | 連邦規則21 CFR 201.327 |
| オーストラリア | Broad Spectrum | 豪州・ニュージーランド規格AS/NZS 2604:2021 |
| 台湾 | PA+(人体試験のデータが必要) | 衛生福利部食品薬物管理署の指針 |
日本・韓国・台湾は「+」で段階をつけ、EUは合格ラインを1本だけ引いて、通ればマークを付けます。米国とオーストラリアは「Broad Spectrum(広域スペクトル)」の文字で、UVAの試験も通ったことを示します。
SPFの上限と耐水性の書き方の比較
| 地域 | SPFの最高表示 | 耐水性の書き方 |
|---|---|---|
| 日本 | 50+(測定値50以上・下限値51.0以上) | UV耐水性★/★★ |
| 韓国 | 50+(50以上は一律) | 내수성/지속내수성 |
| EU | 50+(測定値60以上) | 勧告に書式の規定なし |
| 米国 | 現行は上限なし | 40分か80分のみ |
| オーストラリア | 50+(測定値60以上) | 最長4時間 |
| 台湾 | 50+ | 専用の規定は見当たらず |
米国以外はSPFの最高表示を50+にそろえていますが、50+と書ける条件は日本とEU・オーストラリアで違います。耐水性は星、時間、分と、書き方がばらばらです。
韓国:SPF50以上は「50+」、耐水性は2段階
PAの考え方は日本と同じで、韓国の食品医薬品安全処は2016年9月8日の発表で4段階にし、同年12月から実施しました。PA+からPA++++の区切り(UVAPF 2・4・8・16)も日本と同じです。
食品医薬品安全処の告示機能性化粧品審査に関する規定の第13条では、SPFは測定値をもとに整数で書き、50以上(50を含む)は「SPF50+」と表示します。耐水性は2024年5月の説明で2段階に分かれています。
- 내수성(耐水性):水に入って自然乾燥を繰り返し、約1時間後もSPFが50%以上残るもの。
- 지속내수성(持続耐水性):同じ試験を約2時間行い、SPFが50%以上残るもの。
EU:UVAがSPFの3分の1以上で丸いマーク
EUは2006年の委員会勧告2006/647/ECで、次の三つを最低ラインにしています。
- SPFが6以上。
- UVA防止効果がパッケージに書いたSPFの3分の1以上。
- 臨界波長が370 nm以上。
三つを満たすと、Cosmetics Europeがデザインした丸い「UVA」マークを付けられます(EU委員会の日焼け止め製品の説明ページ)。たとえばSPF50と書く製品なら、UVA防止効果が約17必要です。勧告は厳密には法的拘束力のある規則ではありませんが、EUの最低基準として扱われています。
SPFは次の8つの数字しか書けず、防御のレベルも一緒に書きます。
- 低い防御:SPF6、10。
- 中程度の防御:SPF15、20、25。
- 高い防御:SPF30、50。
- 非常に高い防御:SPF50+(測定値60以上)。
「sunblock」「total protection」のように100%防げると思わせる言葉や、塗り直し不要と思わせる表現も使えません。
米国:SPFに上限なし、耐水性は40分か80分
米国では「Broad Spectrum」は宣伝文句ではなく、試験に通らないと書けない言葉です。21 CFR 201.327により、臨界波長が370 nm以上で広域スペクトルと認められます。通らない製品やSPF15未満の製品には、日焼け(サンバーン)を防ぐことしか証明されていない旨の注意書きが必要です。
現行のルールにはSPFの上限がないので、SPF70や100の表示があるのは米国です。耐水性は「Water Resistant (40 minutes)」か「Water Resistant (80 minutes)」しか書けず、waterproof、sweatproof、sunblockは誇大表示として使えません。FDAの消費者向けページも「waterproofの日焼け止めというものはない」としています。
FDAは2021年に、最高表示をSPF60+にする案を出しました。FDAの日焼け止め規制Q&A(2026年9月10日更新)では、この部分はまだ確定していません(2026年10月確認)。
オーストラリア:50+は測定値60以上、耐水性は最長4時間
AS/NZS 2604:2021(TGAの資料による整理)では、SPFを4段階に分けます。4~14が低い、15~29が中程度、30~59が高い防御で、測定値60以上で初めて50+(非常に高い)と書けます。耐水性は効果が続く時間を書け、最長は4時間で、水浴試験はISO 16217:2020によります。この版の規格は2024年7月1日から新製品に適用され、それ以前に登録された製品は2029年6月30日までの移行期間があります。
台湾:PAは人体試験のデータがあるときだけ
この記事の元になった中国語版は台湾で書かれたもので、参考までに台湾の規則も簡単に紹介します。台湾の衛生福利部食品薬物管理署の2023年10月版化粧品の製品情報ファイル作成指針では、UVAについて人体試験のデータがあればPA+などと書け、機器による試験だけなら「★」(英国Boots社の星評価)しか書けません。この★はUVAの星で、日本のUV耐水性の★とは別物です。
SPFは2007年2月26日の公告で、測定値より大きく書いてはいけない、最高は50、50を超えたら「SPF50+」か「SPF50 Plus」と決められています。2024年7月1日からは化粧品の分類がなくなり、日焼け止めは「特定用途化粧品」ではなく製品登録制になりました(食品薬物管理署の2024年6月26日の発表)。
UVインデックスはSPFとは別のもの
天気予報のUVインデックス(UV指数)は「今日の外の紫外線がどれだけ強いか」、SPFやPAは「その日焼け止めが試験室でどうだったか」です。片方は環境、片方は製品を測るもので、互いに換算はできません。UVインデックスは世界保健機関(WHO)など四つの国際機関が共同で定めたもので、WHOの説明ページは0~2、3~7、8以上の3つに分け、3以上で対策をとるよう勧めています。
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よくある質問
SPFとPAは何が違いますか?
SPFは肌が赤くなる日焼け(サンバーン)を起こす主にUVBに対する効果の数値、PAは肌が黒くなる日焼けにかかわるUVAに対する効果の等級です。日本ではどちらも日本化粧品工業連合会(現・日本化粧品工業会)の自主基準で測り方と表示方法が決まっていて、国の法令で決められたものではありません。
PA++++はどういう意味ですか?
PAの4段階のうち一番上で、UVA防止効果の指数(UVAPF)が16以上という意味です。PA+は2以上4未満、PA++は4以上8未満、PA+++は8以上16未満です。PA++++は2013年1月1日から表示できるようになりました。
日本のSPFはなぜ50+までなのですか?
日本化粧品工業連合会のSPF測定法基準で、測定値が50以上で、かつ95%信頼限界の下限値が51.0以上のときにSPF50+と表示すると決められているためです。それより大きい数字は書きません。EUとオーストラリアも最高は50+ですが、50+にはSPF60以上の測定値が必要です。SPFの上限がないのは米国で、SPF70や100の表示があります。
UV耐水性★と★★の違いは?
国際規格ISO 18861の試験で、水浴40分(20分×2回)の後も耐水性が認められれば「UV耐水性★」、80分(20分×4回)なら「UV耐水性★★」です。2022年12月1日から始まった業界の自主基準で、表示するときは水浴前のSPF値も一緒に書きます。この試験の結果を根拠に「汗に強い」と書くことは認められていません。
「ウォータープルーフ」と書いてある日焼け止めは?
日本の自主基準では、ウォータープルーフなど耐水性をうたう表現を使う場合は「UV耐水性★」か「UV耐水性★★」を必ず併記することになっています。米国ではwaterproofという言葉自体が使えず、「Water Resistant(40分)」か「(80分)」しか書けません。
海外の日焼け止めにPAがないのはなぜ?
PAは日本と韓国などで使われている表示で、国際共通ではないためです。EUはUVA防止効果がSPFの3分の1以上などの条件を満たすと丸い「UVA」マークを付けられ、米国とオーストラリアは「Broad Spectrum」の文字でUVAの試験も通ったことを示します。
出典: 2026年10月27日時点で確認。日本の規則は日本化粧品工業連合会(2023年4月に日本化粧品工業会へ改組)のSPF測定法基準・UVA防止効果測定法基準・耐水性測定法基準と関連の通知・ニュースリリースを、JCIAの公式サイトが確認時にメンテナンス中だったため、同会のニュースリリースや通知のInternet Archive保存版を引用し、日本化粧品技術者会誌の論文、国立国会図書館の典拠情報、大阪府と枚方市が掲載する効能効果の範囲で補いました。海外は韓国食品医薬品安全処の告示と発表、EU委員会勧告2006/647/EC、米国21 CFRとFDA、豪州TGAの資料、台湾衛生福利部食品薬物管理署の資料に基づきます。米国のSPF上限案は2026年10月時点で未確定で、各国の規則は今後変わる可能性があります。
