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Portraは生産終了?Fujifilmのフィルムは実はKodak製?|2026年、カラーネガ工場は世界に約5社:サプライチェーン、Kodakの財務と価格

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目次 (33)

世界でカラーネガフィルムを自社で「塗布」できる工場は、約5社しか残っていません。米国のEastman Kodak、日本のFujifilm、英国のHarman Technology、ドイツのORWO(InovisCoat)、そして中国の楽凱(Lucky Film)です。このうち本格的に大量生産しているのはKodakとFujifilmだけで、残りの3社は少量生産か、再出発したばかりです。店頭で見かけるそのほかのブランド、たとえばCineStill、Lomography、Kentmereの多くは、これらの工場からフィルムを買い、自社のパッケージに詰め替えたものです。

いちばん意外なのは、Fujifilmが米国で売っているFujifilm 200とFujifilm 400について、データシートの比較もフィルムの縁にあるDXコードも、Kodakによる受託生産を示していることです。Fujifilm自身は認めておらず、「複数のパートナーと協力している」とだけ述べています。

この記事では産業調査の視点から、フィルムのサプライチェーンを3つの層に分けます。誰が工場を持っているのか、誰が誰のために作っているのか、誰がパッケージを替えているだけなのか。さらに、Kodakがここ数年工場で何をしてきたのか、なぜPortraは2026年に名前が変わったのか、2025年の「Kodakは倒産するのか」というニュースは実際どういうことだったのかを見て、最後に米国と日本の価格を並べます。先に結論を言うと、フィルムは死につつあるのではなく、集中しつつあります。

1. 「塗布」とは何か:フィルム工場とフィルムブランドを分ける工程

1本のフィルムの中核となる工程を塗布(coating)といいます。ハロゲン化銀を含む感光乳剤を、透明なフィルムベースの上に一層ずつ均一に塗っていく作業です。カラーネガでは、それぞれ異なる色の光に感光する何層もの乳剤を重ねる必要があり、各層の厚さと処方が最終的な色を決めます。この工程には塗布ライン一式が必要です。

カラーネガフィルムの断面図。左の列が現像前、右の列が現像後。いちばん下が灰色のフィルムベースで、上へ順にハレーション防止層、中間層、赤感光層3層、中間層、シアン感光層1層(Fujifilmは第4の感色層と呼んでいる)、緑感光層3層、イエローフィルター層、青感光層2層、いちばん上が保護層。現像後は3組の感光層がそれぞれシアン、マゼンタ、イエローのネガ像になる。
Fujifilm Superia 200のデータシートをもとに描かれたカラーネガフィルムの断面図。フィルムベースの上に、働きの異なる十数層の乳剤層と中間層が重なっており、そのすべてを同じ塗布ラインで均一に塗る必要があります。これが塗布ラインを作り直すのが難しい理由です。作図:Bostwickenator、CC BY-SA 4.0、出典:Wikimedia Commons(元画像)。当サイトでラベルを日本語に翻訳しており、この改変版も同じくCC BY-SA 4.0で公開しています。

塗布のあとには仕上げ加工(finishing)があります。大きなロール状のフィルムを35mm幅に裁断し、パーフォレーションを開け、パトローネに巻き込み、箱に詰める工程です。こちらは包装に近く、技術的なハードルはずっと低くなります。

ケーキ作りにたとえるとわかりやすいでしょう。塗布ラインを持つ工場は、自前のオーブンで自分で生地を作るケーキ工場です。塗布ラインを持たないブランドは、工場からケーキを仕入れて、自分の箱とシールに替えて売るケーキ店です。どちらもケーキを売っていますが、ケーキの味を決めるのは前者だけで、前者が止まったときに後ろに並ぶ店が一斉に品切れになります。

塗布ラインは、いったん失うと建て直すのがとても難しい資産です。Luckyは2012年にカラーフィルムの生産をやめ、新たに開発したC200で市場に戻ったのは2025年、13年後のことでした。モノクロフィルムで知られる英国の工場Harmanが、工場史上初めて自社で設計し自社で塗布したカラーフィルムを出したのは、2023年12月になってからです。だから、あるフィルムブランドの素性を見分けるとき、最初に問うべきは常に「自前の塗布ラインがあるか」です。

2. カラーネガ工場は世界に約5社:顔ぶれとそれぞれの状況

工場 規模 現状
Eastman Kodak(米国Rochester) 大量 世界最大のカラーネガ供給元で、他ブランドの受託生産も行う
Fujifilm(日本・足柄) 大量 自社の塗布ラインは健在。米国市場の一般向けカラーネガはKodakの受託生産に切り替わった。日本国内のカラーネガを自社で塗布しているかは情報源が食い違う
Harman(英国Mobberley) 少量、
始動直後
2023年12月に工場初の自社塗布カラーフィルムPhoenix 200を発売。2025年7月に改良版Phoenix II、2026年3月に実験的カラーフィルムSwitch Azure 125を発売
ORWO/InovisCoat(ドイツ) 少量 カラーネガWolfen NC500は、処方がAgfaの映画用フィルムに由来。2026年7月に塗布工場をOptik Oldschoolが引き継いだ
楽凱 Lucky(中国) 少量、
復帰直後
2012年にカラーフィルムの生産を終了。新たに開発したLucky C200を2025年から中国で少量発売し、2026年6月に米国の小売市場に登場

この表のポイントは、「5社」と「2社」を分けて見ることです(HarmanはIlfordのモノクロフィルムの親会社です。ORWOの塗布工場InovisCoatはMonheim am Rheinにあり、ORWO/WolfenブランドはBitterfeld-Wolfenにあります)。カラーネガを自社で塗布できるのは5社ですが、世界の一般向け市場の供給を支えているのはKodakとFujifilmだけです。Harman、ORWO、Luckyの製品はまだニッチな選択肢で、量の桁が違います。しかもFujifilmでさえ、米国で売る一般向けカラーネガはもう自社製ではないので、カラーネガの供給におけるKodak 1社の比重は実際にはさらに大きくなります。

「世界に約5社」という数え方は、フィルムレビューサイトAnalog CafeがLucky C200のレビューで挙げた顔ぶれ(Kodak、Harman、Fujifilm、ORWO、Lucky)を採用しています。この数はカラーネガだけで、モノクロフィルムもリバーサルフィルムも含みません。「約」を付けたのは、この顔ぶれの出典が1つしかなく、Fujifilmが日本国内でまだ自社塗布しているかについても2つの説があるからです(次の項を参照)。2026年10月時点で、新たに参入した工場や撤退した工場は見当たりません。

Fujifilmの日本国内のカラーネガは今も自社塗布か:情報源が食い違う

この点は結論が見つからなかったので、そのまま書きます。

  • まとめサイトcameragxは2025年9月、Fujifilmをカラーフィルムを今も製造している工場に挙げています。
  • 一方、同じAnalog Cafeのシリーズ記事は、FujifilmはSuperia X-TRA 400の生産終了後、カラーネガを自社で作らなくなったとしています。
  • Fujifilm自身は、日本国内で売っているカラーネガを誰が塗布しているかを公表していません。

比較的確かな書き方はこうです。Fujifilmは今も塗布ラインを持っています(インスタントフィルムは同じ足柄工場で増産中です)。しかし米国で売っている一般向けカラーネガについては、比較の証拠がKodakの受託生産を示しています。日本国内の分については、結論を出せる一次情報がありません。

モノクロフィルムの工場はカラーより多い:Foma、ADOX、Harman

モノクロフィルムはカラーより製造工程が単純で、工場も多めです。カラーネガの顔ぶれと混ざらないよう、ここでは簡単に挙げるだけにします。

  • チェコのFoma Bohemiaはモノクロフィルム、印画紙、薬品だけを作っており、カラーフィルムは作っていません。
  • ドイツのADOXは、AgfaとハンガリーのForte工場が閉鎖したときに残された設備で詰め替えを行っています。2015年にはスイスの塗布機を買って自社塗布の準備を始めましたが、2024年時点でもまだ立ち上げ中です。
  • 英国のHarmanは、Ilfordのモノクロフィルムと自社のサブブランドKentmereのほか、Agfa、Rolleiなどのブランドにもモノクロフィルムを供給しています。

3. サプライチェーンの3層構造:塗布工場、受託生産と詰め替え、小売

ここまでの工場と店頭のブランドをつなぐと、おおよそ次のようになります。

層 役割 例
第1層:
塗布工場
Kodak、Fujifilm、Harman、ORWO、Lucky。乳剤を作り、塗布し、色と粒状性を決める Kodak Gold 200、Harman Phoenix II、Wolfen NC500、Lucky C200
第2層A:
受託生産
工場が別の有名ブランドのために生産し、同じラインの製品に別のブランド名を付ける Kodakが生産するFujifilm 200/400(米国製)、Harmanが供給するAgfa、Rolleiのモノクロフィルム
第2層B:
詰め替え・改造
塗布ラインを持たないブランドが工場からフィルムを買い、名前とパッケージを替える。一部は加工・改造も行う CineStill(Kodakの映画用フィルムからバック層を除去)、Lomography、Arista、Kono、Rollei。KentmereはHarmanの自社サブブランド
第3層:
小売
フィルム専門店、総合EC、ブランド公式ストア。仕入れ、価格設定、消費者への販売 各地のフィルム専門店、大手EC、ブランド公式ストア

この表から読み取れる結論は、店頭のブランド数は実際の工場数よりはるかに多いということです。消費者がフィルム店で十数のブランドを目にしても、さかのぼっていくと、カラーネガの多くはKodak 1社に行き着きます。

CineStillは詰め替えの例として最もわかりやすいブランドです。Kodakの映画用フィルムVision3の裏面にある黒いハレーション防止のバック層(rem-jet)を取り除き、一般のC-41現像所でも現像できるようにしています。独自の調整とブランドはありますが、自前の塗布ラインは持っておらず、フィルムそのものはKodak製です。

この構造は、プリントシール機で使われる昇華型プリンターによく似ています。私は昇華型をはじめとする写真出力の6つの技術のページで、2つの観察を書きました。お金は機械ではなく消耗品のほうにあること、そして販売ブランドは独立したプラットフォームと同じではなく、メーカーを替えてもリスクの分散になるとは限らないことです。フィルムは同じ話のもっと極端な版です。カメラは入り口にすぎず、フィルムこそ使うたびに買い直す消耗品で、その消耗品の背後にある工場は、店頭のブランド数よりずっと少ないのです。

4. あなたのFujifilmのフィルムがKodak製かもしれない理由:証拠と留保

この節は記事全体で最もよく聞かれる質問なので、証拠を1つずつ挙げ、まだ確定できない点もはっきりさせておきます。

比較の証拠:データシート、DXコード、パッケージの原産国

  • Fujicolor 200(2021年12月に発売された新版)の特性曲線、分光感度曲線、分光濃度曲線(色素濃度曲線)は、Kodak Gold 200の2016年版データシートとまったく同じです。写真メディアPetaPixelが2022年1月にこの比較を報じました。ネット上では「販売担当者がKodak製だと認めた」という話をよく見かけますが、名前が明らかで検証できる出典は見つからなかったので、業界で広くそう見られている、としか言えません。
  • 2022年初め、Fujifilmは米国で日本製のFujicolor C200の販売をやめ、パッケージに「Made in USA」と表示されたFujifilm 200に切り替えました。
  • 2023年7月には米国製のFujifilm 400が登場しました。写真サイト35mmcは、フィルムの縁のDXコードからこれがKodak UltraMax 400だと判断していますが、両者のデータシートにはわずかな違いがあります。
木のテーブルの上に立てられたKodak Gold 200カラーネガフィルムの箱。黄色とマゼンタのパッケージにKodak GOLD、36枚撮り、ISO 200と印刷されている。
2019年の小売パッケージのKodak Gold 200。米国製Fujifilm 200の特性曲線、分光感度曲線、分光濃度曲線は、このフィルムのデータシートとまったく同じです。撮影:Willwongprd、CC BY-SA 4.0、出典:Wikimedia Commons(元画像)。

Fujifilmの説明:「複数のパートナー」とだけ

FujifilmはKodakによる受託生産を正式に認めたことはありません。公の説明は「複数のパートナー」と協力しているというものだけです。したがって正確な書き方は、規格の比較が示し、業界でも広く見られているように、米国製のFujifilm 200と400はKodakの受託生産である、です。「Fujifilmが認めた」ではありません。

Fujifilm自社のカラーネガは1本ずつ消えていった

Fujifilmのここ数年のカラーネガの動きを年表にすると、自社の製品ラインが縮小しているのがわかります。

時期 出来事
2021年 Pro 400Hが生産終了
2021年12月~
2022年初め
新版Fujicolor 200を発売。米国市場はMade in USAのFujifilm 200に切り替え
2023年3月29日 Fujifilmが日本でFujicolor 100、Superia Premium 400、Superia X-TRA 400と、リバーサルフィルムのVelvia、Proviaの受注を停止。理由は原材料の調達不足
2023年7月 米国製Fujifilm 400が登場
2024年4月 Superia X-TRA 400が世界で生産終了し、Fujifilm 400が後継に
2025年6月 公式サイトに400HとX-TRA 400が一時的に製品として再掲載されたが、Fujifilmはのちにサイトの誤りだと説明し、どちらも生産終了のまま

この表から見えるのは1つの方向です。Fujifilmが自社で塗布する一般向けカラーネガはどんどん減り、市場でFujifilmの名前が付いたカラーネガは、ますます米国製の版になっています。

テーブルの上に散らばった、緑色のパッケージのFujifilm Superia X-TRA 400の3本パックと1本入りの箱、Superia 200の箱。横には白いフィルムケースがいくつかと、パトローネから少しフィルムが出たX-TRA 400が1本ある。
Fujifilm Superia X-TRAシリーズの箱とパトローネ。このうちX-TRA 400は2024年4月に世界で生産終了となり、米国製のFujifilm 400に置き換えられました。撮影:Nxr-at、CC BY-SA 4.0、出典:Wikimedia Commons(元画像)。

Fujifilmの資金と生産能力の行き先:インスタントフィルム

同じ時期、Fujifilmは別の種類のフィルムで大規模な増産を進めています。2025年12月18日、Fujifilmは足柄工場に約50億円を追加投資してinstaxフィルムの生産能力を拡大すると発表しました。生産能力は2025年度比で約1割増え、2026年秋に全面稼働する予定です。2022年以降の累計投資は約115億円、生産能力は2022年度比で約5割増になります。日本経済新聞の2025年12月の報道によると、instaxの年間売上高は1,500億円を超え、9割が海外で、instaxを含むイメージング事業はグループの営業利益の約4割を占めています。

私の解釈では、Fujifilmは自ら価格決定権を持ち、競合がほとんどいないインスタントフィルムに資源を振り向け、量が少なく競争の激しい従来型のカラーネガは、生産能力の大きいKodakに受託生産させています。これは投資と製品の動きから推し量った判断で、Fujifilmがそう述べたわけではありません。インスタントフィルムの歴史は、インスタントカメラ業界史:ポラロイドとinstaxに続きます。

5. Kodakの内側:増産、ライン停止と更新、販売権の回収、Portraの改名

世界のカラーネガの多くがKodakに行き着くのなら、Kodakの工場で起きていることは、そのまま市場全体で起きていることです。

Kodakの生産能力:2015~2019年に倍増、2022年に仕上げ加工を24時間化

  • 生産量:2015年から2019年にかけて、Kodakのスチル用フィルムの生産量は2倍以上になりました。当時のフィルム部門のゼネラルマネージャーEd Hurleyは、毎年15%、20%、ときには30%伸びていると語っています。
  • 人員:2021年以降、フィルム部門は約350人を採用し、2022年10月の時点でもまだ75人の求人がありました。担当の副社長は、生産能力が「まだ需要に追いつかない」と述べています。
  • 仕上げ加工:2022年10月、フィルムの裁断と包装を週40時間から24時間フル稼働に切り替え、この工程の生産能力は約4倍になりました。
  • 受注残:Kodak自身が2025年第2四半期の10-Qで、一般向けフィルムの需要増に設備の制約と人手不足が重なって受注残が生じたと認めています。2024年に人員の増強と設備投資を行ったことで、受注残はようやく減りました。

この4点を合わせると、2020年代初めのフィルム不足は、工場が撤退しようとしていたからではなく、工場の生産が追いつかなかったからだとわかります。

2010年、ニューヨーク州RochesterのSeneca ParkからGenesee River越しに見たKodak Parkの敷地。手前にはKodakのロゴが入った白いタンクと排水処理池、奥の木立の上には赤れんがの工場棟、冷却塔、白い煙を上げる高い煙突が見える。
2010年、Genesee River越しに見たニューヨーク州RochesterのKodak Park(現在の名称はEastman Business Park)。Eastman Kodakのフィルムはこの敷地で生産されており、この記事のアイキャッチ画像はこの写真をトリミングしたものです。撮影:DanielPenfield、CC BY-SA 3.0、出典:Wikimedia Commons(元画像)。

2024年11月:全フィルムラインを約5週間止めて設備更新

Kodakの最高経営責任者(CEO)は2024年第3四半期の決算説明会で、11月から全フィルム生産ライン(映画用フィルムとスチル用フィルム)を約5週間止めて設備を更新すると発表しました。停止前には在庫を多めに作り置きしています。

この出来事は、集中のリスクを最もよく表しています。1つの工場が自社、元の販売元、ほかのブランドのカラーネガを同時に供給していると、その工場が5週間止まるだけで、店頭のいくつものブランドが一斉に影響を受けます。

Kodak Alarisとは何者か:なぜKodakは販売権を取り戻したのか

Kodakのフィルムには2つの会社が関わっています。Eastman KodakはRochesterでフィルムを生産している会社です。Kodak Alarisは、2012年にEastman Kodakが経営破綻して再建手続きに入ったあと、2013年にスチル用フィルムの販売とマーケティングを引き継いだ別の会社です。Alarisは2024年8月、英国の年金保護機関によって米国のプライベートエクイティファンドKingswood Capitalに売却されました。

2025年秋から、Eastman Kodakは販売権を1本ずつ取り戻し、自ら販売するようになりました。

時期 出来事
2025年9~10月 Eastman Kodakが自社ブランドでKodacolor 100と200を発売(旧製品Pro Image 100、ColorPlus 200の改名で、新しい乳剤ではない)
2025年11月 Gold 200、UltraMax 400をEastman Kodakが自ら販売し、Eastman Kodakのパッケージに変更
2026年1月 Ektar 100、Tri-Xを取り戻して自社販売
2026年2月 リバーサルフィルムEktachromeを取り戻して自社販売
2026年3月24日 PortraをEktacolor Proに、T-MaxをEktapanに改名。Kodakのスチル用フィルムはすべてEastman Kodakの自社販売に戻る

Kodakは2025年第3四半期の決算で、販売を取り戻すのは一般向けフィルム市場をよりコントロールし、価格と供給を安定させるためだと説明しています。表を見ると、最も安く量の多い一般向けフィルムから始め、プロ用フィルムを最後に回しています。まず基盤を固め、それから名前に問題のある製品に取りかかった順序のように見えます。Kosmo Fotoの2026年4月のまとめによると、Kodacolor 100と200は発売当初、米国でAlarisが販売していた同等品より約1ドル安かったそうです。この価格差はこの2本だけの話で、英国の価格はAlaris時代とほぼ同じでした。

PortraからEktacolor Proへの改名:店頭でまだPortraと呼ばれているのは改名前の在庫

旧名
(商標はAlaris)
新名
(2026-03-24~)
Portra 160 Ektacolor Pro 160
Portra 400 Ektacolor Pro 400
Portra 800 Ektacolor Pro 800
T-Max 100 Ektapan 100
T-Max 400 Ektapan 400
T-Max P3200 Ektapan P3200

この対照表が意味するのは、Portraは生産終了しておらず、変わったのは名前だけだということです。乳剤そのものは変わっていません。改名の理由は、PortraとT-Maxという2つの商標がKodak Alarisの手にあり、Eastman Kodakは販売を取り戻したあとにそれらを使えなくなったからです。

つまり、店頭でまだPortraと印刷されているのは、改名前に出荷された在庫です。新しく入荷するものはEktacolor Proのパッケージになります。2つの名前は同じフィルムなので、「最後のPortra」のために余分にお金を払う必要はありません。

Kodak公式サイトのEKTACOLOR PRO 400製品ページ。上部に黄色と黒のKODAK EKTACOLOR PRO 400の135フィルムの箱があり、見出しは「KODAK EKTACOLOR PRO 400 Color Negative Film」、説明文には世界で最もシャープで最も粒状性の細かいISO 400カラーネガフィルムだと書かれている。
現在のKodak公式サイトのプロ用カラーネガは、製品ページにEKTACOLOR PROという名前しか残っておらず、説明文は今も「世界で最もシャープで最も粒状性の細かいISO 400カラーネガフィルム」です。公式サイトの製品ページにはPortraとの関係は書かれておらず、改名の経緯は写真メディアの報道によるものです(付録参照)。スクリーンショット出典:Kodak公式サイトの製品ページ(2026年9月25日取得、製品画像、見出し、説明の第1段落のみ)、元のページ。

6. 2025年のKodak「継続企業の前提に関する疑義」:問題は債務で、フィルムではない

2025年8月、多くのメディアが「Kodakはもたないかもしれない」と報じました。この節では米国証券取引委員会(SEC)の一次資料だけを使って、出来事の経緯を整理します。

日付 文書 内容
2025年8月11日提出 Kodak 2025年第2四半期10-Q 12か月以内に返済期限が来る債務があるが、確約された資金調達も返済に足る流動資金もなく、そのため「継続企業として存続する能力に重要な疑義がある」。2025年6月30日時点の現金は1.55億ドルで、うち7,000万ドルが米国内
2025年8月14日 Kodak公式声明 これは会計基準が求める技術的な開示で、事業停止や破産の計画はない。第2四半期に使った現金は300万ドルだけ
2025年11月提出 Kodak 2025年第3四半期10-Q 米国の年金制度(KRIP)を清算したあとの余剰資金が2025年12月に会社へ戻る見込みで、12か月以内に期限が来る債務を返済するのに十分。先の疑義は「解消した」

この表の結論は、今回の警告は財務構造の問題で、表明から解消まで約3か月だったこと、そして原因は債務の期限到来と年金資金がまだ戻っていなかったことで、フィルム事業の好不調とは関係がなかったということです。

Eastman Kodak 2025年第2四半期10-Q(For the quarterly period ended: June 30, 2025)の原文の一節。Kodakには12か月以内に返済期限が来る債務があり、返済のための確約された資金調達も利用可能な流動資金もなく、これらの状況によりKodakが継続企業として存続する能力に重要な疑義(substantial doubt about Kodak’s ability to continue as a going concern)が生じている、と書かれている。
「Kodakが倒産する」という報道のきっかけになったのがこの一節です。原因ははっきり書かれていて、債務の期限が来るのに確約された資金調達がない、というものです。スクリーンショット出典:SEC EDGAR上のKodak 2025年第2四半期10-Q(2026年9月25日取得、社名、報告期間、継続企業の前提に関する段落のみ)、原文。
Kodak公式サイトのブログ「Statement Regarding Misleading Media Reports」、日付は2025年8月14日。箇条書きで、Kodakには事業の停止、廃業、破産保護の申請の計画はなく、継続企業の前提に関する開示は会計規則が求める技術的な報告だと書かれている。その下の段落には、2025年第2四半期に使った現金は300万ドルだけだとある。
3日後のKodakの公式な回答です。事業停止や破産の計画はなく、継続企業の前提に関する開示は会計規則が求める技術的な報告だとしています。スクリーンショット出典:Kodak公式サイトのブログ(2026年9月25日取得、見出し、日付、箇条書き、営業キャッシュフローの段落のみ)、元のページ。

同じ第3四半期の10-Qによると、フィルムを含む「先端材料・化学品」事業部の第3四半期売上高は8,200万ドルで、前年同期比15%増、1~9月の累計は2.31億ドルで14%増でした。注意したいのは、この事業部には映画用フィルム、産業用フィルム、化学品も含まれており、Kodakは一般向けフィルムの売上高を個別に開示していないことです。同じ四半期、印刷事業がKodakの総売上高の66%を占めていました。フィルムはKodakのごく一部ですが、伸びている部分です。

Eastman Kodak 2025年第3四半期10-Q(For the quarterly period ended: September 30, 2025)の原文の一節。Kodakは2025年12月にKRIPから戻る資金を受け取り、12か月以内に期限が来る債務を賄うのに十分であるため、第2四半期の10-Qで開示した継続企業の前提に関する疑義は「have been resolved」(解消した)と書かれている。
同じ第3四半期10-Qの別の段落で、12月に年金制度の資金が会社に戻ることを前提に、第2四半期に開示した疑義が解消したと正式に書かれています。スクリーンショット出典:SEC EDGAR上のKodak 2025年第3四半期10-Q(2026年9月25日取得、社名、報告期間、疑義解消の段落のみ)、原文。

その後の決算もこの結論と整合しています。2026年8月に発表された第2四半期決算(2026年6月30日まで)は次のとおりです。

  • 総売上高は3.11億ドルで、前年同期比18%増。
  • 先端材料・化学品事業部の売上高は1.05億ドルで、前年同期比40%増。
  • 上半期にタームローン約1.01億ドルを返済し、長期債務は2025年末の約2.08億ドルから約1.08億ドルに減少。現金は2.9億ドル。

ここでも注意が必要で、この40%は事業部全体の伸びであり、スチル用フィルムがどれだけ売れたかは決算に個別に書かれていません。

したがって「Kodakが倒産する、フィルムがなくなる」という推論は、前半も後半も成り立ちません。会社の問題はフィルムにはなく、フィルム部門はむしろ伸びています。

7. フィルムの価格:米国は下がり、日本は上がった

米国:Gold 200は11ドルから9ドルに戻った

フィルム 2019.4 2022.1 2026.7
Portra 400 7.80 12.80 約17.85
Gold 200 4.50 11.00 約8.99
Ektar 100 6.75 16.00 約16.00
X-TRA 400 3.33 7.33 生産終了

単位は米ドルで、135フィルム36枚撮り1本あたりです。Portra 400の2026年の価格は5本パックから、Ektar 100は10本パックから1本あたりに換算しています。X-TRA 400はFujicolor Superia X-TRA 400です。2019年と2022年の価格はFstoppersがまとめた米国の写真機材店B&HのWebページのアーカイブ、2026年の価格はフィルム価格比較サイトpellicaの2026年7月のまとめによるもので、出典が異なり、パッケージの規格も完全には一致しないため、方向を見る用途にしか向きません。

方向ははっきりしています。2019年から2022年はフィルム価格が急騰した3年間で、Gold 200は約144%上がりました。しかし2022年以降、一般向けのGold 200はむしろ9ドル前後に下がり、プロ用のPortra 400は上がり続けています。多くの人がいちばんよく使う一般向けフィルムについては、最も高かった時期はすでに過ぎています。

銀は1年で140%上昇、小売価格は2.5%上昇にとどまる

本来なら、フィルムの感光材料はハロゲン化銀なので、銀の値上がりはフィルム価格に反映されるはずです。2025年、銀は1オンス約30ドルからザラ場の最高値で82ドル超まで上がり、年間の上昇率は140%近くに達し、市場ではフィルムが大幅に値上がりするのではと一時心配されました。この期間の値上げのニュースは次のとおりです。

  • Kodak Alarisは2026年2月1日から品目に応じて1~39%値上げすると発表し、理由を銀価格と部品コストの急騰としています(オランダの小売店Analogspaceが発表を紹介)。それ以前には、2023年3月に平均17%、2025年1月に多くの品目で5~8%値上げしています。
  • Harmanは2025年4月、米国の関税に対応して、米国市場のIlfordとHarmanのフィルムと印画紙を11%、液体の薬品を12%値上げしました。Phoenixシリーズは据え置きです。
  • Fujifilmは日本で2025年、2026年と続けて値上げしました(次の項を参照)。

しかし実際の小売価格は、それほど急騰していません。フィルムレビューサイトAnalog Cafeが13の小売店、37種類のフィルムを追跡したところ、2026年上半期の値上がりは平均2.5%にとどまりました。個別に見ると、Kodacolor 200は10.5%上がり、Ektapan 400は逆に4.9%、UltraMax 400は2.6%下がっています。

発表された値上げ幅と実際の小売価格の差について、直接の説明は見つかりませんでした。考えられる理由の1つは、同じ時期にEastman Kodakが販売を取り戻し、新しいパッケージの価格がAlaris版より低かったことで、値上げ分の一部が相殺されたことです。ただしこれは私の推測で、裏づける出典はありません。

日本:Fujifilmが続けて値上げ、写ルンですは一度に44%

実施日 内容
2022年4月1日 フィルムを20~60%値上げ。5月からカラー印画紙を10~20%、現像薬品を約10%、6月からプロ向けラボサービスを8~94%値上げ
2023年6月 写ルンですを約13%値上げ
2025年4月1日 135カラーネガを約21~22%、写ルンですを約44%、リバーサルフィルムを約31~52%値上げ。写ルンですの直販価格は1,980円から2,860円に
2026年4月1日 写ルンですをさらに約5%値上げ(日本経済新聞によると約2,990円)。instax miniフィルムを約22~27%値上げ

米国と日本を比べると、値上がりが大きいのは日本です。Fujifilmが毎回挙げる公式な理由は、原材料、部品、輸送コストの上昇です。

写ルンですは1986年の発売時の1,380円から、2026年には約2,990円になりました。それでも日経の2025年7月の報道によると、値上げ後も東京の量販店では入荷するとすぐ売り切れることが多く、1人1台に購入を制限していました。使い捨てカメラの全体像は、使い捨てカメラ(写ルンです)業界史(中国語)にまとめています。

8. 新しいプレーヤー:Harman Phoenix、Lucky C200、ORWO

5社の工場のうち後の3社は、いずれも2020年代に新しい動きがあり、カラーネガの供給元の選択肢を増やしています。

  • Harmanは2023年12月1日、工場初の自社設計・自社塗布のカラーフィルムPhoenix 200を発売しました。商標上の制約でIlfordの名前ではカラーフィルムを売れないため、Harman自身の名前を付けています。2025年7月16日にはPhoenix II(135と120)を発売し、各色層を設計し直して、コントラスト、色、粒状性を一般的なカラーネガに近づけました。
  • Harmanは2024年にLloyds銀行から8桁ポンド規模の融資を受け、新しい仕上げ加工機によってパトローネ入りフィルムの年間生産量を2倍以上に増やせるようになりました。Mobberley工場の敷地は48エーカー、従業員は約200人です。
  • Luckyは2012年にカラーフィルムの生産をやめ、新たに開発したLucky C200を2025年から中国で少量発売し、2026年6月に米国の小売市場に登場しました。
  • Harmanは2026年3月、さらにSwitch Azure 125を発売しました。カラーカプラーを意図的に入れ替えた実験的なカラーネガで、普通ではない色かぶりと高い彩度が出ます。位置づけはクリエイティブ用で、Phoenixのような日常用のフィルムではありません。
  • ORWO(InovisCoat)のWolfen NC500は、Agfaの映画用フィルムの処方をもとにしたカラーネガです。2026年7月、ドイツのOptik Oldschoolが塗布工場InovisCoatとFilmoTec/Original Wolfenを引き継ぎました。工場のオーナーが替わったので、製品ラインが今後どうなるかは見守る必要があります。
  • 中国ではほかに、Light Lens Labが2025年1月に自社の新乳剤によるモノクロフィルムの作例を公開していますが、まだカラーネガではありません。

これら新しいプレーヤーに共通するのは、どれも量がまだ少なく、短期的にKodakの地位を揺るがすことはできないものの、「カラーネガがKodak 1社の工場に頼りすぎている」というリスクに、予備の選択肢が生まれ始めたことです。

2023年8月に上空から見下ろした英国MobberleyのHarman Technologyの敷地。低い白と灰色の工場棟と駐車場が広がり、周りは緑の草地、木立、農地に囲まれている。
2023年8月、上空から見た英国MobberleyのHarman Technologyの敷地。Ilfordのモノクロフィルムと、2023年以降のPhoenixカラーフィルムは、どちらもここで塗布されています。撮影:Thomas Nugent、CC BY-SA 2.0、出典:Wikimedia Commons(元画像)。
Harman Technology公式サイトの2025年7月16日のニュースリリース「THE JOURNEY CONTINUES: HARMAN PHOTO LAUNCHES HARMAN PHOENIX II」。青いPHOENIX II ISO 200 COLOUR FILMのバナーがあり、本文にはPhoenix IIはまったく新しいISO 200、C41のカラーフィルムで、35mmと120の2つの規格があり、前世代のPhoenixは2023年12月に発売された同社初の自社製カラーフィルムだと書かれている。
Harman自身の説明です。初代Phoenix(2023年12月)は同社史上初のカラーフィルムで、Phoenix IIは設計し直した第2世代です。スクリーンショット出典:Harman Technology公式サイトのニュースリリース(2026年9月25日取得、見出し、日付、バナー、最初の2段落のみ)、元のページ。
中国楽凱集団公式サイトの2026年8月4日のニュース「胶卷“复活”再掀抢购潮!乐凯携C400新品惊艳亮相P&I 2026」。本文には、2026年7月23日に上海でP&I展が開幕し、昨年のC200カラーフィルムが買い占めブームを起こしたのに続き、楽凱が新製品C400カラーフィルムを発表し、あわせてモノクロフィルム「影者100」とインスタント製品も展示したと書かれている。
楽凱公式サイトのニュースから、2つのことが確認できます。C200は2025年に市場に戻ったあと売れていること、そして2026年7月の上海P&I展でさらにC400カラーフィルムを発表したことです。スクリーンショット出典:中国楽凱集団公式サイトのニュース(2026年9月25日取得、見出し、日付、最初の2段落の文章のみ。会場の人物写真は省略)、元のページ。

市場はどれくらいの大きさか:メーカー自身の説明だけを引用する

フィルム市場の規模については、メーカー自身の説明だけを使います。

  • Kodakは、2015年から2019年にかけてスチル用フィルムの生産量が2倍以上になり、毎年15~30%伸びたとしています。
  • Harmanは2024年の取材で、過去約8年、市場は毎年4~5%着実に伸びており、その原動力は新しい若いユーザーだと語っています。

市場調査会社の数字は引用しません。理由は、互いに食い違っており、方法もわからないからです。たとえば、ある報告書は2025年のフィルムカメラ市場の規模を6.38億ドル、別の報告書は2023年を2.78億ドルとしていて、2年の間に2倍以上の差があります。「2024年に世界で1.2億本のフィルムが生産された」といった数字も、元の計算方法が見つかりません。どう計算したのかわからない数字を引用するより、自分の数字に責任を持つメーカーの説明だけを使うほうがよいと考えました。もっとも、それもメーカーが公表してもよいと考えた部分にすぎません。

9. フィルムは死につつあるのではなく、集中しつつある:使い捨てカメラとコンパクトフィルムカメラのユーザーにとっての意味

ここまでの8節をまとめると、結論はこうです。フィルムは死につつあるわけではありません。Kodakのスチル用フィルムの生産量は2015年から2019年に倍増し、フィルムを含む事業部の売上高はまだ伸びています。Fujifilmはインスタントフィルムの工場を拡張し、HarmanとLuckyは新製品を出しています。実際に起きているのは集中です。カラーネガの供給はますますKodak 1社の工場に収れんし、ブランドは増えても、工場は増えていません。

集中は消費者にとって両面があります。良い面は、規模が価格を安定させたことです。米国のGold 200は11ドルから9ドルに下がり、銀の急騰も小売価格には目立って反映されていません(2026年上半期の値上がりは平均2.5%にとどまりました)。悪い面は一点集中のリスクです。Kodakが5週間ラインを止めたり、販売権の持ち主が替わったりするだけで、店頭のいくつものブランドが一斉に品切れになったり、名前が変わったりします。

ユーザーによって、これが意味することは違います。

  • コンパクトフィルムカメラで日常を撮る人は、Kodak Gold 200と米国製のFujifilm 200を、比較上同じ曲線を持つフィルムとして扱い、そのとき安いほうを買うのが合理的です。両者はデータシートの曲線が同じで、違いは主にパッケージと販売チャネルの価格設定だからです。コンパクトカメラそのものの成り立ちは、コンパクトカメラとは:1977~2026年(中国語)をご覧ください。
  • Portraを使い慣れている人は、「最後のPortra」のために買いだめしたり余分に払ったりする必要はありません。Ektacolor Proは同じ乳剤で名前が変わっただけだからです。比べるべきは使用期限と保存状態で、パッケージの名前ではありません。
  • 違う色を試してみたい人にとって、Lucky C200とHarman Phoenix IIは、本当に別の工場から来た選択肢です。この記事が2026年9月に台湾で調べた価格はGold 200とほぼ同じで、試してみるコストは高くありません。
  • 使い捨てカメラを買う人は、中にどのメーカーのフィルムが入っているかを知らないのが普通です。写ルンですの公式仕様には「ISO400 135ネガフィルム」としか書かれておらず、メーカー名はありません。今入っているのが日本製なのかKodakの受託生産なのかは、調べてもわかりませんでした。
  • 環境が気になる使い捨てカメラのユーザーは、「使い捨て」が実は使い捨てではないことを知っておくとよいでしょう。Fujifilmは1990年に写ルンですのリサイクルセンターを稼働させ、1998年にはリサイクル・再利用と生産を1つの循環生産システムに統合しました。2005年の資料によると、再資源化できる重量の割合は95%に達しています。これが、現像後にカメラ本体が返ってこない理由の1つです。

最後に、見落とされがちなのが現像です。フィルムの価格は落ち着きましたが、現像のほうは値上がりしています(たとえば台北のある現像店は2026年2月、135カラーネガの現像料金を値上げし、理由に薬品と消耗品のコストを挙げています)。フィルム1本の総コストを計算するときは、現像とスキャンも合わせて考える必要があります。

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付録:調べても見つからなかったこと

以下のテーマは調べましたが信頼できる答えが見つからなかったので、この記事では結論として書いておらず、推計で補ってもいません。

  • Fujifilmが日本国内で売っているカラーネガは、今も自社塗布なのか外注なのか。2つのまとめ情報の説明が正反対で、Fujifilmの一次情報による説明はありません。
  • 写ルンですに今入っているフィルムは日本製なのかKodakの受託生産なのか。公式仕様にはISO400 135ネガフィルムとしか書かれていません。
  • Kodakの使い捨てカメラ(FunSaverなど)は今、Kodak AlarisとEastman Kodakのどちらが販売しているのか。Alarisの公式サイトにはまだこれらの機種が掲載されています。
  • Kodakの一般向けフィルム単独の売上高。決算では映画用・産業用フィルムを含む事業部全体しか開示されていません。
  • 日本の近年のフィルム出荷量や年間成長率。
  • 2020年代の写ルンですの回収率と部品の再利用率、Kodakの使い捨てカメラの回収率。
  • 2026年上半期の小売価格の上昇幅が、Alarisが発表した値上げ幅を大きく下回った正確な理由。

付録:参考資料

画像の出典

この記事の写真と図は、すべてWikimedia Commonsのオープンライセンスのファイルから取得しており、作者とライセンスは各画像の下にも表示しています。このほか、メーカー公式サイトとSECの文書のスクリーンショットが6枚あり、引用による裏づけとして、本文に関係する部分だけを切り出しています。

本記事のキーワード:フィルム メーカー、カラーネガ 工場、フィルム サプライチェーン、富士フイルム コダック OEM、Fujifilm 200 Kodak Gold 200 同じ、Portra 生産終了、Portra 改名 Ektacolor Pro、Kodak Alaris、コダック 倒産、フィルム 値上げ 2026

よくある質問

世界でカラーネガフィルムを作っている工場は、どこが残っていますか?

カラーネガを自社で塗布できる工場は約5社しか残っていません。米国のEastman Kodak、日本のFujifilm、英国のHarman Technology、ドイツのORWO(InovisCoat)、中国の楽凱(Lucky)です。本格的に大量生産しているのはKodakとFujifilmだけで、Harmanは2023年に工場史上初の自社カラーフィルムを出したばかり、Luckyは2012年にカラーフィルムの生産をやめ、2025年にC200でようやく戻ってきました。

Fujifilm 200のフィルムはKodak製ですか?

米国で売られているFujifilm 200と400は、比較の結果も業界の見方も、Kodakによる受託生産を示しています。Fujifilm 200はデータシートの曲線がKodak Gold 200と同じで、Fujifilm 400のDXコードはKodak UltraMax 400に対応し、外箱にはMade in USAと表示されています。Fujifilm自身は認めておらず、複数のパートナーと協力しているとだけ述べています。日本国内で売られているFujifilmのカラーネガを自社で塗布しているかどうかは、情報源どうしで食い違っており、Fujifilmの一次情報はありません。

Kodak Portraは生産終了しましたか?

生産終了ではなく、改名です。2026年3月24日から、Eastman Kodakが自ら流通させる新しい製品はEktacolor Pro(160、400、800)という名前になり、乳剤は変わっていません。改名の理由は、Portraという商標が元の販売元であるKodak Alarisの手にあるためです。店頭でまだPortraという名前で売られているのは、改名前に出荷された在庫です。

Kodakは倒産しそうなのですか?

2025年8月、Kodakは決算書類に「継続企業の前提に関する重要な疑義」があると記載しました。理由は12か月以内に返済期限が来る債務があり、その時点で確約された資金調達がなかったことで、フィルムが売れないからではありません。同じ時期、フィルムを含む事業部の売上高は14~15%伸びていました。米国の年金制度を清算したあとの余剰資金が2025年12月に会社へ戻る見込みとなり、Kodakは2025年11月に提出した第3四半期の10-Qで疑義が解消したと表明しました。2026年6月末までに、Kodakはタームローン約1億ドルを返済して長期債務は約1.08億ドルとなり、フィルムを含む事業部の第2四半期売上高は前年同期比40%増でした。

フィルムはなぜ値上がりし続けているのですか?

メーカーの公式な理由は、原材料、部品、輸送のコスト上昇がほとんどです。2025年に銀は1年で約140%上がり、Harmanも米国の関税を理由に11%値上げしました。ただし実際の小売価格は上がり続けたわけではありません。2026年上半期、13の小売店、37種類のフィルムの値上がりは平均2.5%にとどまり、米国のKodak Gold 200は2022年の約11ドルから2026年には約9ドルに下がっています。最も大きく値上がりしたのは日本のFujifilmで、2025年4月には写ルンですが一度に約44%値上げされました。

出典: 中国語版の初公開日は2026年9月25日、改訂日は2026年10月28日です。出典の多くは2026年9月25日に、Kodakの2026年第2四半期決算は2026年10月27日に確認した内容に基づいています。

この日本語版は、繁体字中国語の原作記事をもとにしています。 joelin.cc. 海外の読者にもわかりやすいよう、表現や説明を調整しています。内容の基準となるのは繁体字中国語の原文です。完全な内容は 中国語の原文をご覧ください。